ターバン
(英語turban)

 「(インド人やイスラム教徒が頭に巻く頭巾)」
 

 もとはトルコ語tulbendやペルシア語dulband「巻き頭巾」。イタリア語でturbante。フランス語でturban。

  cf. チュ−リップと同じ語源。なぜなら、チュ−リップ状の巻き方をするから。

   ただし本来は、長い顎鬚とともに、16世紀初にナーナクが創始したイスラム教の影響の強いヒンド

   ゥー
教改革派シク教徒のファッション。
 

 
タイガー(英語tiger)

 「虎」
 

 ギリシア語tigris、ラテン語tigrisから、古代フランス語tigreへ。メソポタミア地方のティグリス河の上流が

急流であることから、虎が敏捷で脚が速い動物だったことに結び付けた言葉か。
 

 
ダルマ(サンスクリット語dharma)

 「禅宗の始祖、ダルマ(達磨大師)の座像にまねて作った張り子のおもちゃ」
 

 達磨はサンスクリット語のdharmaの音を写したもの。仏教では「法(根本原理)」の意味。人物としては、

6世紀の初めにに中国に渡ったインド僧で、北魏の落陽にあって禅を指導したとされる。

  cf. B.C.3世紀インドのマウリヤ朝最盛期のアショーカ王が、各地の磨崖碑・石柱碑にダルマ(法)の

   政治の内容を刻んだ
ことが有名。
 

 
タンク(英語tank)

 「戦車。液体や気体の貯蔵庫」
 

 戦車の意味は、第一次世界大戦でイギリス軍が秘密保持のため新兵器の戦車のことを暗号名でtank

「水槽」と呼んだ
のが始まり。水槽の意味はラテン語tancare「せき止める」から。
 

 
チェス(英語chass)

 「西洋将棋」
 

 ペルシア語シャーchah「王(の称号)」に基づく、古代フランス語チェスeschecから。

  cf. 英語チェックcheck「照合。引き合わせ。小切手」も、チェスの「王手」からの「行き詰まり。阻止」への意味

   変化から。
 

 
チャボ(ベトナム語 占婆)

 「(愛玩用の鶏の小型種)」
 

 今のベトナム南部にかつて栄えたチャム人の独立国チャンパーChampa(中国名では林邑、占城など)か

ら渡来し、国名チャンパーをチャボとなまった。

  
チューリップ(英語tulip)

 「(ユリ科の観賞用の草花)」
 

 トルコ語tulibend「頭に巻くターバン」から。花の形がイスラム教徒のターバンに似ていることからヨ−ロッパ人の

命名。

  cf. 西北インド中心のシク教徒の風俗としてもターバンが知られているが、シク教がイスラム教の影響を受けた

  一神教的で偶像崇拝を否定する新ヒンドゥー教
だからか。
 

 
ティー(英語tea)

 「茶」
 

 中国語の厦門(アモイ)方言t´eからマレー語teh・オランダ語theeを経て、英語に。主として紅茶の意味で使用。

  cf. イギリスの東インド会社は1600年、オランダは1602年に設立。イギリス東インド会社は、1834年まで

   茶貿易を独占
した。

 
デマ(ドイツ語Demagogia)

 「でたらめな噂。民衆への煽動。中傷」
 

 ギリシア語demagogia「煽動」から。demos「民衆」とagogos「指導者」の構成に基づく。

 cf.古代ギリシアのポリス、アテネ没落の一因が、デマゴーゴス(デマゴーグ)「扇動政治家」と衆愚政治

 
デモクラシー(英語democracy)

 「民主主義。民主政治」
 

 ギリシア語demokratia「民主政体」から。demos「民衆」とkrtatos「力。支配」の構成。

  cf. B.C.510年にアテネで暴君となった僭主を打倒し、2年後に実現したのが最初の民主政治とされる。

 
デルタ(ギリシア語delta)

 「ギリシア文字の第4字(Δ、δ)」「河口の三角洲」 
 

 古代ギリシアの歴史家ヘロドトスが、ナイル河の三角洲を、古代ローマの地理学者ストラボンがインダス河

の三角洲を指して使用した。
 

 
テロリスト(英語terrorist)

 「暴力革命主義者」
 

 フランス革命のときのジャコバン党員を表したのがもと。フランス語terroristeはラテン語のterror「恐怖」に基づく。

なぜならば、恐怖を与える手段によって革命を遂行しようとする人の意。
 

 
トーナメント(英語tournamenent)

 「スポーツで勝ち抜き選手権試合」
 

 もとは中世ヨーロッパ騎士たちによる馬上槍試合。古代フランス語torneiement「馬上槍試合」から。torneier

「向きを変える」に基づく。馬上試合では騎士の攻撃が終わる度に向きを変えるから。ギリシア語のtornos「ろくろ」が起源。

 
ドラキュラ(英語Dracula)

 「(イギリスの作家ブラム=ストーカーの小説に出てくる吸血鬼の名)」
 

 ギリシア語drakon「竜。大きい蛇」に由来する。今のルーマニアの一部であるワラキア公国の残酷だったヴラドVlud2世

のあだ名、ルーマニア語dracul「悪魔」(−ulは定冠詞)に基づく。その息子がドラキュラ=ヴラド=ツェペシュ「串刺し公」で、

ドラキュラは「竜の子、悪魔の子」の意味。15世紀、オスマン=トルコの脅威から自治公国を守った英雄といえる。

 
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